史料館・所蔵コレクション

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この「史料館」では、『CIデザインむらい所蔵コレクション・近世俳諧史料』の一部をご紹介しています。
江戸時代、『奥の細道』という膨大な紀行の記録を遺した俳聖・松尾芭蕉。その門人(蕉門俳人)で十哲に挙げられる各務支考の編んだ『笈日記』と、その愛弟子である仙石廬元坊の『桃の首途』の江戸期の板本(はんぽん)を公開。
江戸時代の板木(はんぎ)による印刷技術の世界と、貴重な国文学の史料を是非ご覧下さい。また、合せて「仙石廬元坊(里紅)自筆句入り文」もご覧頂けます。

●2008年10月7日更新・・・各務支考編『俳諧十論』の板本を掲載しました。
笈日記(下)本文1 『笈日記』下巻=江戸期の板本
 『笈日記』(おいにっき) は各務支考編による俳諧撰集で、元禄8(1695)年7月15日自序。この作品の題名は、芭蕉が刊行を予定して果たされなかった諸家の俳句や文を集めた『笈の小文』(おいのこぶみ) の遺志を継ぎ、芭蕉臨終前後を日記風にまとめたもの。
 『笈日記』の内容は、奥羽・北陸以外の芭蕉が訪れた地方を巡遊し、芭蕉の句や文等を集めている。伊賀・大阪・京都・嵯峨・湖南・彦根・大垣・岐阜・尾張・伊勢、と各地に分類して収めたもので、芭蕉の動向も詳しく記している。其角『枯尾花』や路通『芭蕉翁行状記』とともに、芭蕉研究の上で貴重な文献。
  《参考文献》松尾靖秋氏編『俳句辞典 近世』(桜楓社)
笈日記(下)本文 『笈日記』下巻・本文=江戸期の板本
 『笈日記』(おいにっき) を編んだ各務支考は、現在の岐阜市山県北野西山の人。幼くして(9歳) 臨済宗妙心寺派・大智寺(岐阜市山県北野) の雛僧となるが、19歳に下山した後の元禄3〜4年頃に芭蕉の門下となる。
 芭蕉没後、美濃派(獅子門) を創設し全国の地方に蕉風を普及させた。しかし後に、乙由とともに「支麦の徒」「田舎蕉門」と軽視はされたが、美濃派は愛弟子の仙石廬元坊(里紅) に継承され、平成の今日に至るまで続いていることは地方俳諧にとって大きな意義があるのではないでしょうか。
 美濃派(獅子門) は、松尾芭蕉を祖師(第1世)、各務支考を始祖(第2世)、仙石廬元坊を第3世・・・・・として後継されました。途中で2派に分れますがその後統合され、今もなお継承されています。
 【各務支考の別号】東華坊・西華坊・野盤子・獅子庵・見龍・蓮二房などがあります。
俳諧十論:全三冊 各務支考の編・著作

 支考には上記の『笈日記』の他に、数多くの編・著作があります。『梟日記』・『葛の松原』・『続五論』・『本朝文鑑』・・・等々。
 今回のWeb更新(=2008.10.7)でご紹介させて頂くのは、彼の代表作とも言える享保4(1719)年刊『俳諧十論』です。
俳諧十論:本文 『俳諧十論』:全三冊と本文=江戸期の板本

 『俳諧十論』は、俳諧ノ伝・俳諧ノ道・俳諧ノ徳・虚実ノ論・姿情ノ論・俳諧地・修行地・言行論・変化ノ論・方式ノ論の十編に分けて論じた俳諧論書で、巻末に「十論ノ讃」・「十論ノ校」・「十論ノ解」を添えている。(全三冊)
 支考は「十論講」を行っており、この講義をまとめた『十論為弁抄』を後の享保10(1725)年に刊行しています。

獅子庵
獅子庵
 岐阜市山県北野の大智寺境内にある「獅子庵」です。獅子庵は各務支考が晩年過ごした住居で、庵の後側には彼の墓碑と獅子門(以哉派)歴代道統者の句碑があり、すべてが岐阜県指定の文化財として大切に保護されています。支考が過ごしていた頃はこの場所にありませんでしたが、幼年この寺で修行したことにちなんで(?) ここに移転されたようです。
 写真=梅花満開の獅子庵(2008年1月)
三輪神社
三輪神社
 各務支考が享保11(1726)年3月12日に、“渡部ノ狂”の名(支考の変号) で「通夜物語ノ表」(『和漢文操』収) を捧げた三輪神社です。岐阜市三輪にあります。

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大智寺さん・獅子庵へのアクセスマップ:PDF 大智寺さんおよび獅子庵へのアクセスマップ(PDF)掲載。ご覧頂くには Adobe Acrobat Reder が必要です。2007年3月27日改訂(=第6版)しました。
大智寺さん・獅子庵へのアクセスマップ:画像 大智寺さんおよび獅子庵へのアクセスマップ(120dpi=JPEG画像)もございます。2007年3月27日改訂(=第6版)しました。




桃の首途・板本1 『桃の首途』上巻・表紙と本文=江戸期の板本
 『桃の首途』(もものかどで) を編んだ仙石廬元坊(せんごくろげんぼう) は、現在の岐阜県北方の人。獅子門道統第3世。師・各務支考の意を忠実に継ぎ、美濃派の基礎を築きました。
 享保12(1727)年、三越路を行脚して編んだ作品がこの板本です。まぎれもなく当時の本物の著作品です。
 【仙石廬元坊の別号】里紅・獅子庵二世・茶話窟などがあります。
桃の首途・板本2 『桃の首途』上巻・本文=江戸期の板本
 上の享保12(1727)年板『桃の首途』(もものかどで) 上巻の本文です。この作品も『笈日記』と同じく、上・中・下の3巻で成っており揃っていなのが残念です。
 ちなみに下に、この『桃の首途』の中巻(写本) を掲載しました。



廬元坊自筆句入り文

仙石廬元坊(里紅) 自筆句入り文
 仙石廬元坊は美濃国北方の俳人。通称=与兵衛。別号に里紅・茶話窟・獅子庵などがあります。1747年(延享4年)5月10日、57歳にて没しました。支考の門人で、獅子門(美濃派)道統第三世。
 蕉門(俳聖・松尾芭蕉の門人)十哲に挙げられる各務支考の後を継ぎ、美濃派俳諧の基盤を築きました。美濃派は後に「支麦の徒」「田舎蕉門」と軽視はされますが、平成の今なおこの俳諧が引き継がれているのは廬元坊の功績があってのことであると考えられます。
 獅子門(美濃派)の開祖は支考ですが、芭蕉を道統第一世(祖師)―支考を第二世(始祖)―廬元坊を第三世と数えます。廬元坊の後の道統宗匠は、田中五竹坊が第四世として引き継がれましたが、安田以哉坊と河村再和坊との間で確執を生じ、それぞれが第五世を称して以哉・再和の二派に分裂しました。再和派は後に以哉派との合流問題がもつれ、二十三世高橋玉泉が反旗を翻して別な一派を構え、本来の獅子門俳諧の流れを乱しました。
 このような分裂はあったものの、美濃派は全国各地にその勢力を強めました。現在は再び統合され、今もなお美濃派俳諧は継承されています。
 廬元坊(=里紅)の俳諧行脚および、美濃派の流布・伝播は、北陸・京阪神・中国・四国・九州地方におよんでいます。


  去年の秋は心いそぎの事に
  夜をこめて立侍るが此あるじの
  親切わすれがたし崎陽の
  帰るさに立寄侍りて

                里紅

  鳥も尾を見する朝寝や若楓


【和紙/横175mm・縦206mm】   《解説》 村井宏次



あとがき
各務支考が幼年仕えていた臨済宗妙心寺派・大智寺さんのご協力により、【史料館】を配信しております。本当にありがとうございます。
 大智寺さんは、ぎふ三十六景の選定実行委員会による「平成15年 ぎふ三十六景」の第2景に選定された寺院です。 大智寺さんのホームページも是非アクセスしてみて下さい。
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3号館:廬元坊の故郷を訪ねて 2005年取材、仙石廬元坊に関する事項と各務支考(編)による江戸期の文献を3号館でお届けしています。



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